2013年9月11日水曜日

やられたらやり返す、倍返しだ!

会社での出来事。

その日、機械のトラブルと対応に追われていた俺は、イライラしながらも何とか機械場の人達とトラブルシュートを終え、夜も大分更けてから、ようやく自分の所属する部署に戻ると、部署の明かりが落ちていた。

皆、退社した後だった。

まあ、今日みたいな状況は仕方ないし、俺の今日のメインの仕事は他の誰かに割り振ってあるのだろうと思いながら、部署の電気を点けて、自分の机に行くと、どっさりと図面の束が置いてあった・・・。

俺はがっくりとうなだれ、しかし急ぎで処理しなければならない図面にだけは目を通して、その日は帰った。




次の日の朝礼での報告で、トラブルの原因と対策を関係者に伝達した後、俺は次のように言った。

「そんなわけで、今俺が抱えている仕事のうち、
 納期の近いものをいくつか他の方に回して欲しいんですが・・・」

すると部長がこう言った。

「それはお前の仕事だろう!。昨日のうちに納期の早いものぐらい処理しておけよ!」

なんだか再び怒りが湧いてきた俺は、こう言った。

「そんな無茶言わんといてください。昨日のうちに割り振り変える事ぐらいできたでしょ!
 采配ミスじゃないですか!」

すると部長はこう言う。

「なんやとお前。俺がミスしたとでも言うんか?!」

俺はこう言い返した。

「昨日の状況は分かってたでしょう?。トラブルシュートに行ってこいと言ったのは部長ですよ。
 いつも「臨機応変に対応しろ」って言ってるのは部長自身じゃないですか。
 なんで今回は臨機応変に仕事の割り振り変えなかったんですか!」

部長は俺を睨んでこう言い放った。

「お前の能力を試したんじゃ!。どうやらまだまだみたいやなぁ?!」

俺はもう返す言葉が無かった。

朝礼は終わり、皆なにがしかの心のつかえを感じながら席を立ち始めたのだが、わだかまりの残っていた俺は、席を立ちながら、最後っ屁のように言った。

「部長の采配能力もまだまだですね」

部長はちょっと呆けた感じで、しかし眉間に皺を寄せて、こっちをずっと見ていたが、無視して自分の机へ。

そして、怒りがなかなか収まらない状態で、それでも心を落ち着けて、

「今日は徹夜かな・・・」

と思いながら、イライラしながら仕事を片付けていた。
しかし誰か手伝ってくれないものか、とも思いなおし、何人かにお願いすると、快く何人かが仕事を手伝ってくれた。
そのおかげで、仕事は思ったより早く終わり、日付が変わる頃には仕事は片がついた。
昨日と同じく俺が部署で最後だったが。
仕事中、何人か労いの言葉をかけてくれる人もいて、仕事も片付いてホッとはしていたが、なんだかやりきれない感情を抱えながら、会社を出た。
ところが、車に乗りこんだ所で異常に気がついた。

傾いてる。

慌てて外に出てタイヤを確認すると、助手席側の前輪がパンクしていた。
今朝出勤するときに何か踏んだのかな、とも思ったが、朝礼の出来事をふと思い出して、こう思った。

「タイミングが良すぎる。」

とりあえずダッシュボードから懐中電灯を取り出して、パンクしているタイヤを照らしてよく見てみた。

何も刺さってない。というか、微妙に切れ込みが入っている場所がある。
それと、埃で汚れたフェンダーに、不自然な手形らしき痕がある。

こう思った。

「やられた」と。

疲れていた頭に再び怒りがこみ上げ、同時に頭が回り始めるのを感じた。
くそっ、なんて事しやがる。
・・・どうしようか。
早く帰りたいのはやまやまなんだが。
それに会社での出来事だ。
問題に発展させるのは、後々の事を考えても面白くない。
それに、あるのは状況証拠だけだ。

すこし考えて、一旦社屋に戻り、もうほとんど人の居ない会社の、自分の部署から警察に電話した。
市警の緊急ではない番号に。
そして、車にイタズラされた事と、会社の駐車場の場所だけ伝えて、彼等が来るの駐車場で待った。

しばらくすると、警察の人が来て、こう言った。

「うーん、会社とかで時々あるんですよねぇ。こういう事。
 思い当たる出来事とかあるんじゃないですか?。一応被害届け出します?。
 ちょっと時間かかるけど」

なんかまともに調べる気なさそうだ。
なので、一つ考えのある俺はこう言った。

「面倒なのでやめときますが、お願いがあるんです。
 サイレン鳴らして赤色灯回しながら、駐車場から出て行ってもらえませんか?」

警察の人は、ニヤッとして、

「わかりましたよぉ。わかりましたw。」

と言って、パトカーに乗り込み、駐車場を一周して帰っていった。
社屋の窓から、数人がこちらを眺めているのが見えた。
俺は、疲れた頭と体に鞭打って、タイヤを緊急用のものに交換し、帰った。
交換中、何人かの社員とすれ違って、色々と聞かれたので、こう言っておいた。

「いやー、なんか車にイタズラされてなー。ちょっと警察の人に来てもらって見てもらってん。
 まあ、大丈夫だから。」

次の日、朝礼が始まる前から、そのことは会社の人間にあっという間に噂になっていた。
朝礼が始まる前から部長は挙動不審だったが、なんとか冷静を装っていた。
朝礼が始まり、何事も無かったかのように終わったが、部長がこちらの様子をチラチラと見ているのが分かった。
こちらからは、何も切り出さないでおこう、そう思った。

昼休みになって、飯を食っていると、部長がやってきて、こう聞いてきた。

「昨日、警察が来たみたいだけど、何があったん?」

白々しいにも程がある、と思いながらも、俺はこう答えた。

「いやー、まいりましたよー。タイヤにイタズラされちゃってですねー。
 一応被害届け出しときました。
 なんか車の写真とかボディの指紋とか取ってましたけど、そのせいで寝不足ですよー」

部長の顔がみるみるうちに歪んでいくのを眺めながら、俺は続けた。

「まさか部長じゃないですよねー?。それはそれで臨機応変すぎますもんねぇ」

部長はしばらく黙ってうつむいていたが、小声でこう言った。

「いくらで被害届け取り下げてくれる」

俺も小声でこう言った。

「別にお金は要りませんよ・・・そうだな。
 ちょうどバレンタインも近いし、板チョコって所が相場じゃないですか?。
 大人の板チョコですよ。枚数間違えないでくださいよ」

部長は、うつむいたまま小声でこう言った。

「分かった」

俺はそれにかぶせてこう小声で言った。

「あと、今後、社のセキュリティ面に貢献しているという意味で、
 向こう数年のボーナスの査定Aランクお願いしますね」

部長は目を見開いて、こっちを睨んだが、あわててうつむいて、こう言った。

「それは無理だ。カンベンしてくれ」

俺は、身を乗り出してこう言った。

「無理じゃないでしょう。
 なにせ万年Aランクの方が目の前にいらっしゃるわけだから、
 必要ならそこから移せばいいんですよ」

部長は涙目になりながら

「わ、分かった」

と言った。

翌々日、トイレで板チョコの受け渡しをした。白の封筒入りのチョコwだ。

「ちょっと味見しますから、そこで待っていてください」

と俺は言って、個室に入り、中身を調べた。
そして個室を出て、こう言った。

「おいしそうです。ありがとうございます」

さて。
ボーナスの時期が待ち遠しいこってす。

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